工業用潤滑油の種類及び役割、選び方について

潤滑油

機械や工具などの様々なところで使われる工業用潤滑油剤。どこにどんな目的でどんな種類の油が使われているのか、専門的に学んだり実際に使っていたりしないとイマイチわからないかと思います。

スポーツ用と一般の自転車でオイルが違うように、工業用の油剤も機械の種類や使用する環境に合った油を選びます。

機械メーカーの推奨の油を使っていれば基本的に問題ないわけですが、指定の品番が手に入らず他メーカーの同等品を探す必要がある場合などにどう選べばよいのかわからず困ってしまうこともあるかもしれません。

そこで、潤滑油の種類や用途、選び方のポイントを解説してみようと思います。

工業用潤滑油の種類

まず、工業用の潤滑油には大きく分けて次の種類があります。

  1. 多目的油
  2. 摺動面油
  3. 油圧作動油
  4. タービン油
  5. ギヤー油
  6. 軸受油
  7. 圧縮機油

潤滑油元売り5社の対照表がこちらです。

名前の後ろの数字が粘度です。2,5,10,32,46,68…460といった具合に、ISO規格で定められています。

潤滑油剤を注文するときは、型番と粘度を指定する必要があります。

潤滑油のオーダー

それぞれについて順番に解説していきます。

多目的油

幅広い用途で使える汎用的な油剤です。②摺動面油と③油圧作動油の両方の機能を兼ね備えており、錆びにくく、摩耗を抑える効果があります。
また、多目的油を採用することで複数の油種を統合でき、在庫管理の負担が軽減される作業負担が減る発注ミスを防げるなどのメリットがあり、運用の効率化とコスト削減を同時に実現できます。

多目的油の例

  • ENEOSスーパーマルパスDX 2~460 、FBK RO 32~460
  • SHELLテトラ 32,68 、モーリナ S2B 32~220
  • IDEMITSUスーパーマルチ 2~220 、スーパーメカニック 10~460
  • MOBILバキュオリン 32~460 、ベロシティ 3,6,10
  • COSMOオルパス 32~460 、NEWマイティスーパー 2~220

多目的油でお困りの場合は、弊社ではENEOSのスーパーマルパスDXシリーズをお勧めしています。

汎用油としては一番人気のベストセラー商品で、他社製品が手に入らないときはこちらを導入されるユーザーが多いです。

ENEOS品は、直送先の新規登録が不要なため、弊社では他メーカー品よりも早く納品が可能です。

摺動面油

摺動(しゅうどう)面とは、部品同士がこすれ合いながら滑る部分のことです。

工作機械では、部品を正確に動かして加工するために、摺動面がとても大事な役割を果たします。

摺動面油は、摺動面をなめらかに動かすための油です。自転車のチェーンオイルと似た役割を果たし、部品同士がすれるのを防ぎます。

摺動面_解説
引用:シェルルブリカンツジャパンHP

摺動面がスムーズに動くことで、機械の性能が良くなり、より長く使えるようになります。

摺動面油の例

  • ENEOSユニウェイ SF 32,68,220
  • SHELLトナ S3 M 32,68,220
  • IDEMITSUマルチウェイ C 32~220
  • MOBILバクトラ No.1,2,4
  • COSMOダイナウェイ 32,68,220

摺動面油では、SHELLのトナ S3 M シリーズが人気です。コスパが良く、摺動面油としてだけでなく、油圧作動油、軸受油としても使用できます。

油圧作動油

油圧作動油(ハイドロリックオイル)は、油圧機械の中で「動力を伝える」役割を持ちます。例えば、車のブレーキや建設現場のショベルカー、工場のプレス機などで使われます。液体を押し出す力で重いものを動かしたり、正確な動きをさせたりします。この力をスムーズに伝えるのが油圧作動油です。

力を正確に素早く伝えるために、適切な粘度の油を使うことが重要です。

油圧作動油の例

  • ENEOSスーパーハイランド 22~150 、ハイランドワイド 15~100
  • SHELLテラス S2M 22~100
  • IDEMITSUスーパーハイドロ A 22~150
  • MOBILDTE 10~68 、ヌトー H 32,46,68
  • COSMOハイドロ AW 32~100 、スーパーエポック ES 32~68

ENEOS スーパーハイランドには省エネタイプのスーパーハイランドSEがあります。電気代が高騰している昨今、大手を中心に省エネタイプの普及が進んでいます。

SHELLのテラスは特殊な添加剤を使用しているため、使用されている場合変更はあまりおすすめしません。

タービン油

大型機械のタービンをスムーズに動かすために使われる潤滑油です。タービンは高速で回転する重要な部品なので、これを保護し、効率よく動かすためにタービン油が欠かせません。

高速回転によって発生する熱を冷却する効果があり、温度変化があっても劣化しにくいように作られています。

タービン油の例

  • ENEOSタービン 32~150 , FBKタービン 32~100
  • SHELLターボ T 32~100
  • IDEMITSUダイアナフレシア S-32 、スーパータービン 32~68
  • MOBILDTE ライト~ヘビーメディアム 、SHC 824,825
  • COSMOタービン 32~100 、タービンスーパー 32~100

対照表にある通り、添加タイプと無添加タイプの2種類に分かれているため注意が必要です。

添加タイプのものが比較的高負荷環境で使用されることが多いです。機械メーカーの推奨油をまずは検討しましょう。

ギヤー油

歯車(ギヤー)の滑らかな動きと耐久性を保つために使用されます。エンジンや工場の機械、車輌などで力を伝えるために使われる歯車の摩擦を減らし、効率よく動くためにサポートします。

ギヤー油の例

  • ENEOSウォームギヤールブ 220,380 、ボンノック AX 68~680
  • SHELLオマラ S4WE 150~460 、マレウスフルード RL
  • IDEMITSUアルファウォーム 320,460 、ウォームギヤ 460
  • MOBILグラゴイル 11~680 、SHC 629,630,632,634
  • COSMOギヤー W 220,320,460

部品同士の接触が多い部分で使われる油のため、高粘度で油膜の厚みがあるものが多いです。

軸受油

機械の軸を支える軸受(ベアリング)をスムーズに動かし、摩耗や熱の発生を防ぐための潤滑油です。

軸受は、機械の回転運動を支える重要な部分です。その性能を維持し、機械全体の安定した動作に貢献します。

軸受

軸受油は、軸の回転速度や負荷に合わせて工作機械メーカーが粘度を指定しています。

軸受油の例

  • ENEOSスーパーマルパスDX 2~460 、スーパーマシンルブ P 32~460
  • SHELLテトラ SP 2~10 、モーリナ S2BA 100~320
  • IDEMITSUスーパーマルチ 2~220 、メカニック 10~460
  • MOBILベロシティ No.3,6,10 、バキュオリン 525~546
  • COSMONEWマイティスーパー 2~220 、オルパス 32~460

機械の重要な部分に使う油ですので、粘度の確認を充分に行いましょう。

圧縮機油(コンプレッサー油)

空気やガスを圧縮する圧縮機(コンプレッサー)の中で使われる潤滑油です。圧縮機の内部ではピストンやローターなどが高速で動いており、その動きをスムーズにし摩耗や発熱を防ぐために使われます。

ガスが漏れないよう、シリンダーやピストンの隙間を埋め密封する役割もあります。

圧縮機油の種類

  • ENEOSフェアコール A 46,68,100,150 、フェアコール RA 32,68
  • SHELLコレナ P 46,68,100 、コレナ S2RJ 32
  • IDEMITSUスーパー CS 46,68,100 、スーパースクリュー 32,46
  • MOBILレーラス 425,427,429 、SHC 1024,1025,1026
  • COSMOコスモレシプロ 56~150 、コスモスクリュー 32

レシプロ用、ロータリー用の2種類に分かれているため、ご用命の際はご注意ください。

レシプロとはピストン(往復)運動、ロータリーは回転運動のことです。

ロータリー・レシプロ_解説
引用:スポーツカーを愉しむ

粘度について

工業用の潤滑油では、一般的にISO規格の粘度表記が用いられ、VGと表記されることもあります。40℃での粘度指数を表したもので、数値が小さいほど粘り気が低くサラサラしており、数値が大きいほど粘り気が高くドロドロしています。

粘度_表

用途や使用環境によって適切な粘度は変わります。高負荷のかかる機械や密封効果が必要な機械には高粘度の油、高速回転する機械や低温時の始動性が重要な場合には低粘度の油を使います。

粘度について

基本的に、機械や説明書に記載の推奨油や粘度に従って選定します。特殊な環境や今まで使っていた油が一時的に入手困難になってしまった場合は、弊社までご相談ください。ご使用の機械や環境に合った油を選定いたします。

ちなみに、オイルのような流体の粘り度合いを粘度で表すのに対し、グリスのようなペースト状のものには稠度(ちょう度)を用います。

グリスについてはまた別の機会にお話ししたいと思います。

終わりに

最後までご覧いただきありがとうございます。工業用潤滑油剤について5社の対照表をもとに解説しました。

油剤のことでお困りの際は、弊社までお問合せください機械や使用環境に応じて適切な油の選定をお手伝いいたします。

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